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アナ雪2を観てきたよ

■アナ雪2を観てきた

日本の劇場で公開されてから1週間後の2019年11月29日にアナ雪2を観てきた。年内どころかとっくに2020年になって仕事始めも成人式も終わったころに今更かよという感情は我ながら無視できないものの、とても良い映画だったので感想を書いておきたい。(ネタバレを含むので注意)

 

■総評

95/100点。映像の美しさとキャラクターが最終的にいい感じのポジションに収まるのでいいのではないかと。2回劇場で観たが、2回ともお子様が喜んでいて大変ほほえましかったあたりもいい映画だったなと思えた。


(以下、ネタバレ注意)

 
■ストーリーと映像の美しさの映画

2019年に観た映画の中では、ストーリーと映像の美しさは『トイストーリー4』に次ぐ素晴らしさだった。映像の美しさについて言えば、局所的にはアナ雪2の方が勝っていた部分すらあったかもしれない。

 

■映像の美しさ

前作が公開された2013年の時点で既に映像は美しいことこの上ないと思ったが、今作でも2019年時点での技術で表現し切れる美しさは表現し切っていたのではないかと思われたほど美しかった。(※ただし、残念なことに前作については劇場で観ていないので劇場で観た比較ができないのが悔しい!)

 

どういう美しさかというと写実的な油絵のような美しさで、いわゆる「フルCGとは思えない」=「実際の景色を肉眼で見たような美しさ」というよりも、フルCGだからこそ実写よりも美しい油絵のような光景を迫力満点に美しく描き出しているな、という印象だった。最も綺麗だと思ったのは、洞窟の中でオラフが消滅し、エルサの力が失われたこと(エルサがひょっとすると命を落としてしまったかもしれないこと)を察して絶望のあまり涙とともに座り込むというシーンである。場面が場面なので、洞窟の暗さが強く表現されているものの、その中でのわずかな明かりが暗い洞窟の中で座り込んでしまうアナを弱く、しかししっかりと照らすシーン。背後からのシーンということもあって、実際の人の顔よりもデフォルメされた顔も映りこんでおらず、まるで写実的な動く絵画を見たような気分になった。

 

また、前作をBlu-rayで見たのみで劇場で観ていなかったので強く意識していなかったが、前作同様にオラフの身体を形作っている個々の雪の粒(氷の粒)が光の当たり具合で個別に反射して輝くように描かれていた。

全体的に映像が美しくなった今作でもその手法は引き継がれていたが、劇場で観ると格別に綺麗だった。この描写は後に述べるようにストーリー上でも必然性のあるものとも思われ、映像表現の技術とストーリーがハイレベルに噛み合うことで実現したのはさすがディズニー良くできてるという感じだった。

 

■オラフの台詞がすべてを暗示している

「変わらないものはない」「森には変貌の力がある」「水には記憶がある」これらはオラフが物語の序盤から度々口にするセリフだが、これらはすべてストーリー展開を暗示していた。

 

■変わらないものはない

今作の結末で、エルサはアレンデールの女王の座をアナに譲り、自分自身は第5の妖精としてノーサルドラの森で暮らすことになる。

アナとエルサが離れ離れで暮らすことについて、またはエルサが人の領域から外れてしまったことについて一種の寂しさを感じないわけではない。

ただ、今作の主題歌「Into the unknown」の中で「みんなと違うと感じてきた」という歌詞があったとおり、エルサは孤独を感じてきたのではないだろうか。魔法の森が目覚めた結果、アレンデールに大きな影響が出てしまったことを解決するためにエルサとアナたちは出発するが、そのときアナは「私から離れないでほしい」とエルサに頼み、エルサはこれに応じる。アナは一人で問題を背負いこんでしまうエルサを助けたかったのだが、エルサは旅の中で幾度となくアナから離れて妖精と戦うことになる。つまり、アナとの約束を破りまくったのだが、このエルサの行動には「魔法が使えて不思議な声も聞こえる自分とアナでは住んでいる世界が違う」という孤独が根底にあったからではないかと思った。

今作の冒頭でジェスチャー当てゲームをしていたエルサは居心地が悪いようにも見えた。エルサ自身がシャイな性格ということもあるかもしれないが、自分だけに聞こえる不思議な声に悩まされながら女王としてみんなを守るという生活も孤独なものだったのかなとも思った。女王というものは孤独なのかもしれないが、少なくともエルサがハッピーなのかというとそうではないように見えた。オラフもエルサより圧倒的にアナに懐いているようにしか見えなかったし、女王というポジションゆえの孤独以上にエルサという人格自身の孤独さが強いように感じた。

なので、今作の結末はこれでよかったのではないかと思う。エルサは今作のストーリーを経ることでようやく「ありのまま」の自分になれたということもできたからだ。アナは女王になっても色んな人に相談しながら物事を進めそうで透明性の高い統治をしてそうなのでエルサのときよりもアレンデールは活気づくかもしれない。(ディズニーの世界だし)透明性の高さゆえに王政から民主制に変わったりしそうだなとも思ったがそこは考えないことにした。

 

■その他

「水には記憶がある」というオラフの台詞は、その場にある水の記憶を氷という形にして過去の人物たちの言動を知る、というエルサたちの謎解きのために必要で色んな場所できいてくるが、消滅したオラフをエルサが蘇らせるときが最も良い回収だった。

他としては、今作もエルサとアナの幼少時代の思い出から始まるが、そのときのBGMが『雪だるまつくろう』だったり、アナと人形遊びをしているエルサが、悪のゴブリンを妖精の女王が倒す、という人形遊びで今作の結末(エルサが妖精の女王的なものになる)を暗示しているようにも見える、というあたりがネタかなと思った。

こうしてみると100点かなという気になってくる。100点だ。