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藤田和日郎先生の原画展に行ってきた

■生原稿セラピー

先日『はじめの一歩』大原画展に行ってきたことはブログに書いたが、その後なんやかんや忙しくして風邪を引いたりしたのを見かねたのか、妻が藤田先生の原画展に行こうと誘ってくれた。

妻も忙しいところだったので少し気が引けたが、先日は『はじめの一歩』の生原稿に興奮したところだったので、藤田先生の生原稿も見たいという欲求には逆らえず、最終日前日の22日に横浜そごうへ行ってきた。

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■期待半分不安半分

正直なところ、自分は読んでいる漫画がかなり偏っているため、特定少数の作品は読み込んでいるものの、時間をかけて読み込むだけの時間を捻出する必要のあるものについては中々手を出せないという人生を送っている。

藤田和日郎先生という漫画家が『うしおととら』『からくりサーカス』『月光条例』という作品を描いていた先生で、2019年現在も『双亡亭壊すべし』を連載しているということは知っていたが、実際に読んだことがあるのは『月光条例』のみだった。

 

そのため、『はじめの一歩』のように子供の頃から読み込んだ作品ではないものなので(そもそも見に行っていいのか?)という疑問すら抱いて不安になりつつ横浜へ向かった。

 

ちなみに『うしおととら』『からくりサーカス』は近年のアニメを視聴し、特に『うしおととら』は録画したものを何度も再生して胸を熱くしていた。

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■杞憂だった

結論からいうと大変素晴らしい原画展で、もっと心ゆくまで堪能していたかったが、時間の都合もあったため帰路についた。「有給を取って平日にじっくりと見るべきだった!」と妻にこぼしてしまうくらいに素晴らしかった。

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■キャラが生きている

キャラの眼で心を語らせる漫画だなぁとずっと思っていたが、生の原稿を見るとキャラが生きているというか絵が生きているというか、絵に命が宿っているからキャラになっているのか、キャラに命が宿って紙の上に存在しているのか混乱してしまうくらいの存在感だった。

『はじめの一歩』のときは紙の上でキャラが躍動しているのを感じたが、藤田先生の原画展では「キャラが存在している」ように感じられ、蒼月潮くんや加藤鳴海くんに至っては体臭すら感じるような気がした。

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■ファンのみなさまが大変楽しんでおられた

絵と同じくらい印象に残っているのは来場していたファンの方々がとても楽しんでいたことだ。ある人は私と同じく夫婦で来場していたり、ある人は友人たちと来場していたりした。中には単独で来場している方もいらっしゃったが、その方もお気に入りのシーンの前ではほんのり笑顔になったり、原稿の中のキャラと同じような表情になったり、それぞれがそれぞれの思い出をループしながら平和に原稿に見入っていた。

後から振り返ると自分自身もその中にいたわけだが、改めて人の心を引き付ける引力のある漫画だと実感した。

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■書こうかどうしようか迷ったけど

これは書こうかどうすべきか迷ったが、自分としては絶賛なので書いておきたい。藤田先生がエゴサの限りを尽くして読んでしまい、不愉快なお気持ちになられたら申し訳ございません。私なりの絶賛の表現です。

(あんな怖い作品の生原稿見たら怖くなりそう)そう思っていた時期が俺にもありました。しかし、これこそ完全な杞憂だった、というか完全に真逆だった。潮が獣の槍に魂を食われてケモノになりかけている大コマや白面の者が猛っている大コマ、鳴海にいちゃんが絶望に打ちひしがれているコマなどは間近で見続け、写真も撮り、未だに隙間時間さえあれば眺めていたりするが、爽やかな気持ちしか残らない。あんなに迫力があって、キャラクターの感情やおそろしさすら込められている絵なので、見た瞬間に心にのしかかる重さや心痛などはあるのだが、最後に残るのは爽やかな感情だけなのだ。

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勝くんは元々汗と涙のにおいがする少年だったけど、成長した勝くんもいい感じに男くさくて良い。

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これが少年漫画を極めた生原稿の力なのだろうと感服した。

見に行って本当に良かった。

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これは余談だが、このページを見たときとても心揺さぶられながら、島本和彦先生もこういうこと言ってそうで仲良さそうだなと改めて思った。

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